埼玉県虐待禁止条例の一部改正案に対する意見

 

埼玉県虐待禁止条例の一部改正案に対する意見

2023年10月12日

日本小児科学会埼玉地方会
会長 森脇浩一
埼玉県小児科医会
会長 小林敏宏

 

先日、埼玉県議会自由民主党県議団(以下県議団)から提案され、その後取り下げられましたいわゆる「子ども放置禁止」条例(以下条例改正案)につきまして日本小児科学会埼玉地方会ならびに埼玉県小児科医会の代表者は以下のように考えます。

 

(1)子どもの放置が状況によってはネグレクトに相当し、虐待の一種であることは理解しますが、県議団が議論の中で例として示した項目の中には子育ての実態を理解していないと思われる項目が含まれており、今回の条例改正案には問題があると感じました。

例:子どもだけ家に残してゴミ捨てに行く行為、子どもたちだけで公園などで遊ぶことなど

(2)今回の条例改正案は取り下げられましたが、埼玉県における育児支援の施策が絶対的に不足していることについて県議会等においてよく把握していただき、子どもの放置をしてはならないとする前に、放置しないで済むような社会資源の充実を図るべきであると思います。

例:放課後児童クラブの終了時間延長、土日祝日の運営、保育園待機児童などの解消、ベビーシッターなどの制度の充実など

(3)明らかな虐待に関連する事案に対しては、現在進められている施策への協力をお願いするとともに、虐待に関連した業務につく種々の職種の待遇改善等にご配慮いただきたいと思います。

例:埼玉県児童虐待防止ネットワーク事業への協力、児童相談所職員の増、児童養護施設の職員の待遇改善など

(4)今回の事案により、政策決定における立法担当者の現状認識の不足が露呈したことは明白です。これを機会に、県内小児の保健、福祉、教育、医療にまたがる課題を幅広く議論し合理的な解決策を見いだすための協議会を速やかに設置することを提言します。

以上