埼玉県小児科医会
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予防接種を受けましょう
 お母さんから赤ちゃんにプレゼントした病気に対する抵抗力(免疫)は、百日せきや水痘(みずぼうそう)では生後3月までに、麻しん(はしか)やおたふくかぜでは生後8月ころまでに、自然に失われていきます。ですから、この時期を過ぎますと、赤ちゃん自身で免疫をつくって病気を予防する必要がでてきます。これに役立つのが予防接種です。
 子どもの発育と共に外出の機会が多くなります。保育園や幼稚園に入るまでには予防接種で免疫をつけ、伝染病にかからないように予防しましょう。
 最近「病気がはやっていないので、予防接種はもう必要ないのではないか」という声を耳にします。この考えはまだまだ早計です。予防接種で国民が抵抗力をつけているから、病気の流行がおさえられているのを忘れないでください。


予防接種(ワクチン)とは
はしかや百日せきのような伝染病の原因となるウイルス、殺菌または菌の産生する毒素の力を弱めて予防接種液(ワクチン)をつくり、それを体に接種して、その病気に対する抵抗力(免疫)をつくることを、予防接種といいます。「予防接種」に使う薬液のことを「ワクチン」といいいます。すべての病気に対してワクチンがつくれるわけではなく、病原体の性質によってできないものもあります。

【終生免疫】ウイルスや細菌にかかると体の中に免疫(抗体)ができます。これはそのウイルスや細菌などの病原体に対する抵抗力ですが、その病原体に感染した記憶が体の中に一生涯にわたって残っていてその病気にかからないですむ状態をいいます。


予防接種の対象となる病気と予防接種による副反応は
 予防接種と聞くと副反応が心配と消極的になっておられる方もいるようですが、はじめにも書きましたが、その病気にかかった場合と比較してよく考えてみてください。 現在日本で使用しているワクチンは、世界の中でも優秀なもので、副反応の頻度も少ないものです。しかし人間の体の性質は一人一人違いますから、副反応の出る人もできます。
 程度はいろいろですが、大切なことはお子さまの体のことがよくわかったかかりつけの先生に、体調をよく診ていただき、接種をしていただくのがいちばん良いと思います。 地域によっては集団接種のところもありますが、その場合には接種会場で診察される先生によく相談して、 納得してお子さまのため、予防接種を受けましょう。
 
詳細についてはこちら→埼玉県医師会

予防接種の種類と特徴
 予防接種でつかうワクチンには、生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドの3種類があります。

 生ワクチンは生きた病原体の毒性を弱めたもので、その病気にかかったのに近い免疫(抗体)をつくろうとするものです。接種後から体内で病原体の増殖がはじまりますから、それぞれのもっている性質に応じて、発熱や発しんの軽い症状が出ることがあります。十分な抗体が獲得されるのに約1ヶ月が必要です。定期接種のワクチンでは、ポリオ、麻しん(はしか)、風しん、BCGがこれにあたります。

 不活化ワクチンは病原体を殺し、免疫をつくるのに必要な成分を取り出し毒性をなくしてつくったものです。この場合、病原体は体の中で増殖しませんので、何回か接種し、体に記憶させて免疫をつくります。一定の間隔で数回接種し初回免疫をつけたあと、約1年後に追加接種をして基礎免疫ができあがります。でも放置すると、また少しずつ抗体が減ってしまいますので、長期に免疫を保つ場合には、それぞれの性質にあわせて一定の間隔で追加接種が必要です。定期接種のワクチンでは、百日せき、日本脳炎がこれにあたります。

 トキソイドとは細菌が産生する毒素をとり出して、その毒素をなくしたものです。基本的には不活化ワクチンと同様ですから、何回かの接種で免疫をつけます。定期接種のワクチンではジフテリア、破傷風がこれにあたります。

予防接種の有効性
 予防接種を受ければ100%その病気にかからないことを原則としていますが、受ける人の体質、その時の体調などによってつかないこともあります。普通健康な人が生ワクチンを受けた場合、96~98%の方は抗体も獲得できます。もし確実についたかどうかを知りたい場合には血液をとって血中に存在する抗体を測定すれば(有料)わかります。
 また不活化ワクチンやトキソイドでは基礎免疫を完了すれば98~99%の方が抗体を獲得します。抗体ができてそのままでは少しずつ減っていきますので、一定の間隔で追加免疫を受ける必要があります。これを正しく実施すれば一生涯免疫が続きます。
 病気でルール通り接種ができなかったときには、免疫のできにくい時もありますから、かかりつけ医や接種をする先生に相談してみましょう。

接種対象年齢
詳細についてはこちら→埼玉県医師会

予防接種を受けに行く前に
[1]一般的注意
予防接種は健康な人が元気な時に接種を受け、その病原体の感染を予防するものですから、体調のよい時に受けるのが原則です。日ごろから保護者の皆さんはお子様の体質、体調など健康状態によく気を配ってください。 そして何か気にかかることがあれば、あらかじめかかりつけの先生や保健所、市町村担当課にご相談ください。以下の注意を守って、安全に予防接種を受けられるよう、保護者の皆さんにもご協力ください。

(1)受ける予定の予防接種について、通知やパンフレットをよく読んで、必要性や副反応についてよく理解しましょう。わからないことは会場で接種を受ける前に質問しましょう。

(2)受ける前日は入浴(又はシャワー)をさせ、体を清潔にしましょう。

(3)当日は朝から子どもの状態をよく観察し、ふだんと変わったところのないことを確認してください。接種に連れていく予定をしていても、体調が悪いと思ったら、やめる勇気をもちましょう。

(4)清潔な着衣をつけさせましょう。

(5)接種を受ける子の日ごろの状態を知っている保護者の方が つれていきましょう。

(6)子診票は子どもを診て接種をしてくださるお医者さんへの 大切な情報です。責任をもって記入するようにしましょう。

(7)母子健康手帳は必ず持っていきましょう。

[2]予防接種を受けることができない人
(1)明らかに発熱のある人一般的に、熱のある人は、接種会場で測定した体温が37.5℃を 超える場合をさします。

(2)重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな人急性の病気で薬をのむ必要のあるような人は、その後の病気の変化もわかりませんので、その日は見合わせるのが原則です。

(3)その日に受ける予防接種によって、または予防接種に含まれる成分で、アナフィラキシーを起こしたことのある人「アナフィラキシー」というのは通常接種後約30分以内に起こるひどいアレルギーのことです。発汗、顔が急に腫れる、全身にひどいじんましんが出るほか、 はきけ、嘔吐(おうと)、声が出にくい、息が苦しいなどの症状に続きショック状態になるようまはげしい全身反応のことです。

(4)ポリオ、麻しん(はしか)、風しんでは妊娠していることが明らかな人お子さまには直接関係ない規則ですが、任意で受ける人のことも考慮したものです。

(5)その他、医師が不適当な状態と判断した場合上の(1)~(4)に入らなくても医師が接種不適当と判断した時はできません。

[3]予防接種を受けるに際し、お医者さんとよく相談しなくてはならない人
これに該当すると思われる人は、主治医の先生がある場合には必ず前もって診ていただき、その先生のところでうってもらうか、あるいは診断書又は意見書をもらってから接種に行きましょう。

(1)心臓病、腎臓病、肝臓病や血液の病気などで治療を受けている人

(2)発育が悪くお医者さんや保健婦の指導を継続して受けている人

(3)未熟児で生まれて発育の悪い人

(4)カゼなどのひきはじめと思われる人こういう時は体の状態がはっきりするまでなるべくやめておきましょう。

(5)前に予防接種を受けたとき、2日以内に発熱、発しん、じんましんなどアレルギーを思わす異常がみられた人

(6) 薬の投与を受けて皮膚に発しんが出たり、体に異常をきたしたことのある人

(7)今までにけいれんを起こしたことがある人けいれんのおこった年齢、そのとき熱があったか、熱がなかったか、その後おこっているか、受けるワクチンの種類はなにかなどで 条件が異なります。 必ずかかりつけの先生と事前によく相談しましょう。 原因がはっきりしている場合には、一定期間たてば接種できます。

(8)過去に中耳炎や肺炎などによくかかり、免疫状態を検査して異常を指摘されたことのある人

(9)ワクチンには抗原のほかに培養に使う卵の成分、抗生物質、安定剤などが入っていますので、これらにアレルギーがあるといわれたことのある人

(10)家族の中で、または遊び友達、クラスメートの間に、麻しん(はしか)、風しん、おたふくかぜ、水痘(みずぼうそう)などの病気が流行している時で、まだ、その病気にかかったことがない人

[4]予防接種を受けた後の一般的注意事項

(1)予防接種を受けたあと30分は、接種会場でお子さまの様子を観察するか、先生とすぐに連絡をとれるようにしておきましょう。急な副反応の出現に注意していきましょう。

(2)接種後生ワクチンでは2~3週間、不活化ワクチンでは24時間は副反応はこの間におこることがあります。

(3)入浴は差し支えありませんが、わざと注射した部位をこすることはやめましょう。

(4)接種当日はいつも通りの生活をしましょう。はげしい運動はさけましょう。


その他
(1)実施時期および通知について定期の予防接種は、市町村が行うことになっており、個人通知や回覧などでお知らせしています。 この通知などは、住民基本台帳及び外国人登録台帳に基づいて行いますので、赤ちゃんが 生まれた時、転居した時には必ず届けを出しておきましょう。

(2)実施の時期予防接種にはそれぞれ適した年齢があります。標準の年齢内のなるべく早い時期に受けましょう。

(3)標準的な実施年齢がすぎたらいろいろな事情で標準的な年齢に受けることができなかった人も、定められた年齢内ならその後も同様に受けられます。

(4)副反応がおこった場合予防接種のあとまれに副反応の起こることがあります。また、予防接種と同時に、ほかの感染症がたまたま重なって発症することがあります。予防接種を受けたあと、注射位部のひどい腫れ、 高熱、ひきつけなどの症状があったら、接種医のもとで必ず診療を受けてください。特に症状の強い時は、市町村担当課へ連絡してください。



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